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LI-COR

蒸発散(エバポトランスピレーション)を測定する

LI-7700 オープンパスCH4アナライザー


生物圏における最も大きな物質の流れとは、水循環による水の動きです。
土壌表面および水面からの水分の蒸発と、植物が気孔から水を放出する蒸散量は、最も大きな水の(大気への)移動となります。 これらの過程は「蒸発散(ET=エバポトランスピレーション)」と呼ばれます。
地球規模で見ると地上への降雨の65%は蒸発散により大気へ戻り、 蒸発散は水管理・絶滅危惧種の保護・干ばつ・洪水・山火事等、自然災害の発生にとって重要です。 また、潜熱フラックスとしてのエネルギーという観点では、地表に吸収される太陽放射の約50%を消費し、気候及び地域/地球規模の水文学にも影響を及ぼす為、蒸発散を正確に測定することは非常に重要となります。 しかし、太陽放射・気温・風速・湿度といった様々な環境要因に左右されるため、正確な測定は困難な場合があります。

蒸発散(ET=エバポトランスピレーション)の測定手法は、渦相関法/ライシメーター法/シンチレーション法/ボーエン比/作物係数によるアプローチ/リモートセンシング等がありますが、その中でも【渦相関法】が最もダイレクト且つ、広く利用されている手法です。
3次元の風速および水蒸気の混合比(または密度)を高速測定することにより、蒸発散(ET=エバポトランスピレーション)は次のような式で計算されます:

ET=ρ¯w'q'¯¯¯¯¯¯

pは乾燥空気の密度、wは垂直風の速度、qは水蒸気の混合比(水蒸気の質量を乾燥空気の湿度で割りる)、オーバー・バーは「素数は偏差を表す」ということを意味します。

【渦相関測定法】は他手法と比較して以下の4つの優れた利点があります。
1. in situ(現場)での測定なので、ETと熱フラックスのダイレクトな測定ができる
2. 関心領域(ROI)への障害が最少である
3. 測定は広大なエリアにわたって空間的に平均化される
4. システムは継続的かつ長期間にわたる測定ができる様自動化されている


【 LI-7500A オープンパスCO2/H2Oアナライザー】
【渦相関法】の測定機器には水蒸気アナライザー及び音波風速計が含まれ高頻度での測定をすることができます。 H2Oアナライザーは水蒸気密度を、風速計は3次元の風速と風向を測定します。 通常10Hz以上(1秒につき10回)の速さで行われ、動きの速い渦を捉えます。

LI-COR社【 LI-7500A オープンパスCO2/H2Oアナライザー】は蒸発散測定に適しており、空気がオープンパス分析計の中を自由に動き、また、わずか12Wの電力で稼働します。 メイワフォーシスではGill音波風速計をはじめ、他のメーカーの風速計とシステムでの販売をしており、他メーカーの互換性のある風速計も使用できます。(Campbell Scientific社, RM Young社, Metek社,カイジョーソニック社など)

また、エネルギーバランスクロージャー・ギャップフィリング・フラックス結果の解釈によって、(放射収支計・地中伝導熱プレート・雨量計といった)気象学センサーもフラックス測定検証にお使いいただけます。

【データ収集 LI-7550 アナライザーインターフェースユニット】
LI-7550はCO2/H2Oアナライザー用のコントロールハードウェア、音波風速計のデータストリームのインプット、「SMART Flux CPU」によるフラックス結果値への自動演算・内蔵の風圧/気温センサー・データ保存用の16GB USBを搭載しています。
ET測定における完全な渦相関システムの「ハブ」となります。

【データ処理 SMART Flux CPU】
LI-7550に搭載する【SMART Flux CPU】はWindows®のソフトウェアを通じてフラックス値計算の設定を行います。 10Hzという高周波数の生データは自動的に16GB USBデバイスに記録されます。 気象学データもオプションのBiometステーションを通じてUSBドライブに記録されます。 USBドライブはフラックス結果値と計算用生データを数か月分保存することができます。

【SMART Flux CPU】により、自動的にリアルタイムでET・顕熱などのフラックス演算平均値がLI-7550のUSBドライブには記録され、同時に10Hzの生データは、EddyPro®(渦相関計算用ソフトウェア)での処理用に最適化された圧縮データであるghgフォーマットファイルで保存されます。 Eddy ProではET・顕熱・気象学データの平均値・その他結果を再計算することができます。 Eddy ProはLI-COR社のウェブサイトから無料でダウンロードできます。



<参考文献>
Chahine, M.T. 1992. The hydrological cycle and its influence on climate. Nature, 359: 373-380.

Drexler J. Z., R. L. Snyder, D. Spano, U.K.T. Paw. 2004. A review of models and meteorological methods used to estimate wetland evapotranspiration. Hydrological Processes, 18; 2071–2101.

Jung M., M. Reichstein, P. Ciais, et al. 2010. A recent decline in the global land evapotranspiration trend due to limited moisture supply. Nature, 467: 951-954.

Trenberth K.E., L. Smith , T. Qian, A. Dai, J. Fasullo. 2007. Estimates of the global water budget and its annual cycle using observational and model data. Journal of Hydrometeorology, 8: 758-769.

Trenberth K.E., J. T. Fasullo, J. Kiehl. 2009. Earth's global energy budget. Bulletin of the American Meteorological Society, 90; 311-324.



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